業績の改善や向上に取り組む時には、現実を直視して、チームを率いて合理的に様々な問題解決にとりくむ必要があります。そのためには、チームを率いるリーダー達には、どのようなスキルが必要でしょうか?
今回は、確実に組織の業績(パフォーマンス)を向上するために、マネージャーやリーダーに必要とされる「3つの問題解決スキル」について解説します。
部署の業績(パフォーマンス)を改善できるかどうかはリーダー次第
チームが業績(パフォーマンス)向上できない原因はなにか?
チームが業績(パフォーマンス)向上できない原因は何でしょうか?ある企業の業務改善の事例を通して、その理由を解説します。
生産性向上に向けた業務改善プロジェクトが始まった!
サービス企業A社は、社内業務の改善プロジェクトを実施しなければならない状況でした。確実に成果を出さなければならないプロジェクトだったので、私たちがそのプロジェクトの計画立案と遂行を支援しました。その業務改善プロジェクトの概要は以下のようなものでした。【達成目標】 業務の生産性を10%向上する
【プロジェクトオーナー】 事業部長(Hさん)
【プロジェクトマネジメントチーム】 業務部長(Iさん)
【プロジェクトの遂行チーム】 業務メンバー(約20名)
A社は、以前から「この部署の生産性を改善すべきだ!」と考えていました。過去にも幾度か生産性の向上に挑戦したのですが、うまくいきませんでした。ですが、A社全体の業績が低迷し始め、これ以上この部署の生産性の悪さを放置できない状況になりました。そこで、事業部長Hさんが改めて生産性を向上することを決断しました。私たちは、事業部長Hさんのご依頼の元、業務部長Iさんとともにプロジェクトマネジメントチームの一員として、このプロジェクトを遂行することになりました。
まずは、業務部長Iさんと、現在の問題点の洗い出しとプロジェクト計画を立案しました。その作業を通して、A社が以前に業績向上ができなかった原因が次第に分かってきました。
原因1. 生産性を悪化させている原因が特定できていなかった!
今回、業務改善をする部署は「問い合わせ対応」「見積作成」「契約処理」「納品対応」「クレーム対応」の5つが主な業務項目でした。業務部長Iさんは、業務メンバーの労働時間とそれぞれの処理件数のデータを集計していました。業務部長Iさんに「生産性の悪くなっている理由」について伺うと、そのデータを使って「業務メンバーの処理数に大きな差があることがその原因だと思う」と説明してくれました。業務部長Iさんに「最も問題なのは、どの作業ですか?」「その差を生み出している原因はなんですか?」など、いくつか確認の質問をしましたが「部下たちはみんな頑張っているのですけど…」「どうでしょうねえ…」という答えだけで、生産性に悪影響を及ぼしている原因について特定できませんでした。業務部長Iさんは、この集計されたデータを人事評価には利用していましたが、担当する部署の生産性向上には活用していなかったのです。
原因2. 業務マニュアルが整備されていなかった!
業務上の問題を特定するために、業務部長Iさんに「業務マニュアルはありますか?」を聞いたところ、「業務システムの使い方マニュアルはあるが、業務マニュアルはない」と教えてくれました。その使い方マニュアルを確認してみると、だいぶ古いものでした。この使い方マニュアルが完成したあと、2回ほどシステムのバージョンアップが行われたのですが、そのバージョンアップの内容は反映されていませんでした。業務メンバー全員がこの使い方マニュアルを持っている状態ではなく、特に、最近入社したメンバーはこの使い方マニュアルを見たこともない状態でした。その後、メンバーへ業務の問題点や不満についてインタビューをすると、下記のようなことが判明しました。これらのことは以前からわかっていた問題や不満ですが、過去対策が行われていませんでした。
◆ 業務フロー内で重複作業が多い
◆ 業務システムの不備があり、同じことを何度も入力しなければならない
◆ 仕事の受け渡しの問題
◆ 個々のメンバーの業務内容/期待されている成果/求められる資質が不明確
◆ 人の育成がベテランたちに任されていて、やり方がバラバラ
原因3. マネージャーの業務の見直しへの抵抗!
生産性向上の障害がだいぶわかってきましたので、今後の改善策とその実行スケジュールのドラフトを作りました。そのドラフトをたたき台として、業務部長Iさんと具体的な実施計画を作ることが目的でした。そのドラフトを説明すると、業務部長Iさんの反応は以下のようなものでした。◆ そんな事はできません。社内ルールでやり方が決まっています!
◆ 今までのやり方と違います。部下たちは嫌がると思います!
◆ やる気を失ったらどうするんですか? もっと部下たちの気持ちを考えてください!
事業部長Hさんから業務改善を推進することが期待され、その中心人物である業務部長Iさんが、最初に抵抗したのです。A社の業績が低迷し、人員削減も検討されている状況でした。今回の生産性向上プロジェクトは、業績(パフォーマンス)の向上だけが目的ではなく、業務メンバーたちが今後も安心して働いてもらうためにこの生産性向上に挑戦しているのです。業務部長Iさんは、その現実に目を向けず、合理的なことを受け入れようとはしませんでした。
このA社の業務改善プロジェクトが終了してしばらく経った頃、A社とは別のクライアント企業の経営者と会食をした際に、このA社での経験談を話しました。そうしましたら、その経営者は「現実を直視して合理的に行わなければ、業績(パフォーマンス)の改善/向上などできません。ですが、そのことを無視して業務を行っていて、期待する業績を出してくれず、困難な状況に陥っている部署は、私の会社の中にもいくつかありますよ」と語っていました。
業績向上に向けた問題解決で、リーダーに必要とされる問題解決3つのスキル!
業績(パフォーマンス)改善/向上は、現実を直視して合理的に行うことが必須です。ですが、合理的に実施できているマネージャーやリーダーは多くありません。確実に業績を改善/向上するためには、以下の3つの問題解決スキルを強化する必要があります。問題解決スキル1. 問題を特定する力
問題解決スキル2. 問題の構造を探る力
問題解決スキル3. 新たな仕組みに置き換える力
問題解決スキル1. 問題を特定する力
確実に業績(パフォーマンス)を改善/向上するためには、勘だけで問題点を決めつけるのではなく、現場を観察し、実態を把握できるスキルが必須です。社外の外的な要因だけに目を向けるのではなく、また、社内の内的な要因にだけに目を向けるのでもなく、社外も社内もその両方に目を向けることが大切です。実際に問題を特定するときには、業界や市場におけるポジション/商材の特徴/ライバル会社との差別化状況/自社のコアバリューとそのお客様の認知度/お客様の購買プロセスの変化/組織の構造など、幅広くかつ具体的に情報収集することが必須です。また、「直面している問題は1つだけ」ということはほとんどありません。幅広い視野での観察を通して、複数の問題をつかむ必要があります。そして、重要度に基づき、対策の優先順位を決定することが大切です。
問題解決スキル2. 問題の構造を探る力
直面している問題や障害には「原因」と「理由」があります。「『なぜ?』を5回問いなさい」と言われますが、それは根本原因や理由を特定するために言われていることです。できるだけ効率的に根本原因や理由を特定するためには、仕事や業務をプロセスで考え、そこから問題の構造を探る力が必要です。プロセスで考えると、そのプロセスの各ステップでの問題点が見えてきます。またプロセス化することで、データとして把握することも可能となります。その各ステップのうち、業績にもっとも影響を与えるステップ(ボトルネックと言います)を特定し、このボトルネックを解決することが最も効果的な生産性向上の方法です。原因や理由を特定することは簡単ではありません。業績の改善ができていない多くの組織では、仕事や業務をプロセスとして考えることなく「今までこうだったから…」という過去のやり方/経験/慣れ/習慣で問題を解決しようとしていることが多いです。そのことが解決すべき根本原因の特定を邪魔しているのです。
問題解決スキル3. 新たな仕組みに置き換える力
多くの企業の業績改善の支援をした経験上、業績悪化の本質的な原因は下記の2つでした。◆ ビジネスモデルや業務プロセスが市場やお客様の状況に合わなくなっている
◆ 社員の意識と行動が問題
商社などの営業系の会社では、業績が悪化すると販売する商品/サービスを追加/見直す傾向があります。「他の企業で売れている新しい商品やサービスを我が社も売り始めれば業績が改善できる!」という考えです。ですが、安易に販売する商品やサービスを追加/変更することは、その会社としてのコンセプトや存在価値をおかしくしてしまうことがあります。たとえば、飲食店を例にすると「高級なお寿司屋なのに居酒屋のおつまみメニューを増やすようなものです。今までのビジネスモデルを自ら否定することになってしまい、更に業績が悪化してしまうのです。ですので、短絡的に商品やサービスを追加/見直すのではなく、まずは下記の要素を検討し、現状のビジネスモデルや業務プロセスを検討することから始めることが必要です。
◆ お客様は誰か?
◆ なにを価値として提供するのか?
◆ お客様がその対価を支払うために他のどの財源(予算)を私たちに振り替えてもらうか?
◆ どのように提供するのか?(ビジネスモデルは?)
「ビジネスモデルや業務プロセスを変える!」と決断したら、場当たり的にはじめてもうまくいきません。まず行うべきは「将来のビジネスモデルや業務プロセスのイメージを表現する」ことです。その将来の姿を明らかにし、まずは一部の領域でトライアルを行います。そのめざすべきビジネスモデルや業務プロセスが本当に業績改善/向上に効果があるかどうかをテストします。そして、効果がありそうだと判断できたら、本格的に実施します。その際は、社員の能力向上などの研修も必ず計画する必要があります。
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コーチを受けながら、問題解決スキルの応用力を鍛えることが大切!
業績(パフォーマンス)の改善/向上は、現実を直視して合理的に行わなければなりません。ですが、それを理解しているマネージャーやリーダーは少ないです。この問題解決スキルは書籍や研修などで知識を獲得すればできるようになるものではありません。繰り返し体験して応用力へと鍛える必要があります。そのことをわかっている企業は、具体的な問題に対して継続的なコーチングを受けさせることで、その能力を高めています。
私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウ/経験があります。もし、業績改善/業績向上にお悩みであれば、是非ご連絡ください。私たちが、貴社のメンバーと一緒に挑戦し、業績向上/業績改善を成し遂げます。そして、その後は、貴社のメンバーだけで業績向上/業績改善を成し遂げられるように貴社内にノウハウを構築します。
(本ノートは、2016年4月10日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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