業績向上・生産性向上を目指す業務改善・変革を成功するために必須で実施すべき「基礎的な3つのステップ」があります。クライアント企業における実践事例を通して確実に成功へと導く基礎的な3つのステップについて解説します。
業務改善・組織変革を確実に成功へと導く基礎的な3つのステップ
確実に成功へと導く上で重要な実行要素とは?
私たちがクライアント企業の業務改善・変革プロジェクトの推進を支援する時、その支援を開始する前にクライアント企業の今までの状況を理解するためにプロジェクトメンバー達へいくつかの質問をします。その質問の1つは、「以前組織の生産性向上を行った時、それが成功するために心がけとしたことは何でしょうか?」です。この質問に対してよく出てくる回答は以下です。◆ 目的や目標を明確にする
◆ PDCAを意識する・PDCAを高速に回す
これらの心がけは大切な心がけです。ですが、社員たちはこのような心かげを意識して業務改善・変革プロジェクトに取り組んでも、最後までやり遂げることなく、途中で放棄されてしまっていることも多いです。
その主たる原因の1つは「日常の仕事が忙しくて取り組んでいる時間がない!」ということです。プロジェクトを最後まで完遂できなかった理由を聞くと「あまり時間が取れなかった!」ということをよく聞きます。日頃の仕事ですら忙しいですから、業務改善・変革プロジェクトをやっている時間が取れないのです。
もう1つの原因は、クライアント企業内で実施されている業務改善・変革プロジェクトを詳細に観察すると見えてくる原因です。それは、「効果的な実施方法を知らない!」ということです。実際には限られた時間で行わなければならないのですから、効果的な実施方法を知らないために、確実に成功することができないのです。
業務改善・変革プロジェクトを確実に成功へと導くために重要なことは「プロセス思考」です。業績や生産性の向上を目指す業務改善・変革プロジェクトには「プロセス化」の要素が欠かせません。実際には、以下の3つの基礎的ステップを業務改善・変革プロジェクトに盛り込んで実施することが大切です。
Step1. プロセスを図示・デザインする
Step2. プロセスの完了を定義する
Step3. プロセスの運用を見直す
Step1. プロセスを図示・デザインする
業務改善・変革プロジェクトにおいて、最初に取り組むべきことは「プロセスを見える化する」ことです。「プロセスを見える化する」と言葉で言うのは簡単なのですが、実際にプロセスを見える化するためには、その業務に対する観察力や思考力が求められます。例えば、法人営業の業務プロセスの図示・デザインは、他の業務と比べ高い観察力や思考力が必要となることが多いです。なぜならば、法人営業という仕事は、下記のような状況で行われますので、簡単にプロセス化できません。
◆ 法人営業の業務は、社外であるお客様先で商談という形で行われる。お客様先で行われる業務のために、営業たちが行っていることを観察することができない。
◆ お客様先で営業が行う商談は、一部は紙やデータとなっているものもあるが、多くは会話という目では見ることができない情報であるために、その会話のプロセスを具体的に把握することができない。
以上のように、プロセス化には観察力と思考力を発揮する必要がありますが、効果的なプロセス化を行うためには注意点があります。それは、「プロセス化とは、何か問題が発生したときには、その問題の原因がプロセスの前行程で発見できるようになっているもの」という構造を意識してプロセス化を行うことです。このようなプロセス化ができると、もし問題が発生したとしてもその原因が特定しやすくなります。原因はその前にあります。1つ1つの作業の前後関係や一連の流れを意識して見える化することが大切です。プロセス化とは、単なる箇条書きやチェックシートを作ることではないのです。
Step2. プロセスの完了を定義する
プロセス化が終わったら、次にすべきことはそのプロセスの完了を定義することです。プロセスとはそもそも最終的に何かを完了するために必要なものだからです。その際、重要なポイントは「なにをもって作業を完了とするか?」という観点です。様々な人とこの「なにをもって作業を完了とするか?」について話をすると、その1つとしてよく出てくるものに「ミスを減らす」です。エラーが多いということは生産性に悪影響を及ぼします。ですが、この「ミスを減らす」というのは業務をすすめる上での注意点であって、プロセスの完了ではありません。「見積もりをお客様に送付する」「手配を完了する」「XXXという資料を完成する」などが、ここでいうプロセスの完了の定義と呼べるものになります。
Step3. プロセスの運用を見直す
最後は運用の見直しです。プロセスを見える化し、その完了を明確に定義したら、生産性が向上できる新しいプロセスへ変更します。その時、メンバーたちがその新しいプロセスで業務ができるようにしなければ生産性は向上しません。そのため、新しく設計されたプロセスを組織に定着するためのトレーニングを実施します。そして、その後、新しいプロセスが効果的に運営されているかを継続してモニタリングし、業務として定着させることが大切です。業績改善・変革プロジェクトがうまく行かない原因
様々な企業へ業務の生産性向上・最適化のコンサルティングをおこなう際に、よくクライアント企業のマネージャーから聞く言葉は「なんだかんだ言って、結局は社員の積極性や意欲が問題なんです。社員が積極的になり意欲を発揮すれば問題はないんです」ということです。すなわち、社員の「精神・気合い・個人の意欲」に期待しすぎていて、業務の改善や生産性の向上を行っていないマネージャーが多いのです。ですが、社員の「精神・気合い・個人の意欲」ばかりに着目している組織は、残念ながら生産性の向上を実現できていません。生産性の向上の最初のアプローチは、上述したステップに基づく合理的・論理的検討から始めることが大切です。
「社員の意欲の向上」は、合理的・論理的な検討に基づき見える化したプロセスの定着やモニタリングの過程、すなわち、「運用」段階で検討すべきことです。まずは合理性・論理性が先立ちます。「社員の意欲が問題なんです」とマネージャーが考えるのではなく、「プロセスを図示・デザインする」ことから始める生産性向上の基本的なアプローチを学習し実践できるようにすることが重要です。
基礎的な3つのステップを活用した業務改善の事例
あるクライアント企業の営業事務チームでは、その営業事務チームが担う社内業務の生産性の問題に直面していました。社内での作業量が増えてしまい、お客様への見積作成がその営業事務チームだけで処理できなくなったのです。そのため、営業が見積作成をしている状況でした。営業が見積作成に時間を使っていたためにその分お客様先に訪問したり提案したりする営業活動の時間が少なくなっていました。このクライアント企業ではすでにいくつかの対策も行っていました。例えば、営業事務チームへの新入社員を採用です。ですが、仕事が属人化されているために、新入社員を採用してもその処理に追いつくことができませんでした。なかなか仕事量が減らないためにチームの雰囲気も悪くなり、メンバーたちは常日頃不満を言う状態でした。
そこで、この営業事務チームの業務改善にとりくむ事になり、私たちがそのプロジェクト推進の支援を担うことになりました。まず、最初にしたのが、「Step1. プロセスを図示・デザインする」ことでした。業務を、「見積もりする」「注文手配をする」「納品をする」という3つに分類し、それぞれをプロセスとして図示しました。
次に行ったのが、「Step2. プロセスの完了を定義する」でした。このステップでわかったことは、社員たちが設定したそれぞれのステップの完了の定義が、「ネガティブ(マイナス)に感じるものが多い」ことでした。例えば「ミスをしないで行う」というものです。そのために、各プロセスの完了の定義も一緒に見直しました。「お客様の要望にあった見積もりを作成する」など、「人の役に立つ」というポジティブ(プラス)に感じる完了の定義へと変更し、それに合わせて、Step1のプロセスを再び見直しました。
最後は、「Step3. プロセスの運用を見直す」でした。この部署で以前行われていた人事評価は、上司の好き嫌いで評価されている傾向がみられました(人間である以上、ある程度はしょうがないのですが)。評価をプロセスにそった評価へと変更することで、プロセスの基準にそって評価ができるようにしました。また、新入社員や派遣社員がすぐ業務を遂行することができるように業務マニュアルを作成し、早く立ち上げることができるようにしました。
それ以外のいくつかの運用の見直しも合わせて行い、下記のような効果を生み出しました。
◆ 営業が作成する見積もり量が減った(営業支援チームが行う量が増えた)
◆ 営業支援チームが明るくなった
業務改善・変革を成し遂げよう!
是非、あなたの会社の中で今回紹介した3つのステップを意識し、生産性の向上にむけた業務改善・組織変革に取り組んでください。この方法は、そもそもは営業部門での生産性向上のために編み出したものですが、営業部門以外の業務の生産性にも役立つものです。そして、副次的な効果として社員が意欲を発揮するようにつながります。ですが、プロセスを図示しても、業績が改善できず、かつ、社員が意欲を発揮できない場合はご連絡ください。何処かに必ず問題が潜んでいます。私たちは、クライアント企業へ業務改善コンサルティングをおこなっておりますが、特に営業領域における営業プロセスの図示や業務プロセスの見える化はそのなかでも得意分野の一つです。貴社と一緒に、営業プロセスの明確化を行い、必ず業績の改善と生産性の向上を実現します。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください(お問い合わせ内容には「業務改善についての相談を希望」とだけご記入いただければ大丈夫です)。
(本ノートは、2016年1月24日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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